なぜそうなるか

亡くなった親の名義の車を売るとき、相続と買い手への名義変更は同じ窓口で一度に出せる——関東運輸局は申請書を2枚、印紙を1,400円と案内していました

親が亡くなったあと、駐車場に車が1台残っていることがあります。乗る人がいなければ、売るか、手放すかを考えることになります。

ところが車検証を見ると、所有者の欄は親の名前のままです。このまま買い手に渡せるのか、先に自分の名義に変えなければならないのか。そこで手が止まる人は少なくないはずです。

葬儀や役所の届け出が続くなかで、車の書類まで調べる余裕はなかなか持てません。買取の店に聞けば教えてくれるかもしれませんが、何を持っていけばよいかを先に知っておきたいという気持ちもあると思います。

そこで、国土交通省の関東運輸局が出している「自動車の相続による手続き」の案内を開きました。相続人の一人が引き継ぐ場合と、相続と第三者への名義変更を同時に行う場合の、2つのページも並べて読んでいます。

あわせて、国土交通省の様式「遺産分割協議成立申立書」と、北海道運輸局の「相続による移転登録」のページも確かめました。記事の中の書類の名前と数字は、どれも出典の書き方のままです。

手元の車にどの手続きが当たるかは、この記事では判断しません。相続人の人数や遺言の有無、車検の期限によって必要な書類が変わるので、最後は車の使用の本拠を管轄する運輸支局に確かめる前提で読んでください。

この記事でわかること
・関東運輸局は、相続と第三者への名義変更を同時に手続きする方法を案内している
・その場合の申請書は2枚で、手数料納付書に貼る印紙は1,400円と書かれている
・相続人は、戸籍謄本か法定相続情報証明書、遺産分割協議書などの書類を用意する
・相続する車の価格が100万円以下なら、遺産分割協議成立申立書を使える場合がある
・車検証の有効期間が過ぎているときは、先に一時抹消登録をする手順が示されている

亡くなった親の名義の車は、そのまま買い手に渡せるの?

車検証の所有者が亡くなった親のままでも、売ることはできるの?

関東運輸局は、相続の手続きと第三者への名義変更を「同時に手続きする場合」を、相続の手続きの1つとして挙げています。

関東運輸局の「自動車の相続による手続き」は、冒頭でこのページの対象をこう示します。

所有者が死亡したときに自動車を相続する場合の手続きです。

そのうえで、掲載している相続の手続きとして、単独相続・共同相続・一時抹消登録・永久抹消登録と並んで、第三者への名義変更が並びます。見出しの括弧書きは次のとおりです。

相続と第三者への名義変更を同時に手続きする場合

相続人の名義に変えてから、日を改めて買い手に移す、という2段階を踏まなくてよい形が用意されている、ということです。

同じページには、所有者の確かめ方の案内もありました。車検証の「所有者の氏名又は名称」を見るように書き、括弧の中で次のように続けています。

第三者が所有者である場合は、相続は発生しません。

ローンの会社などが所有者になっている車では、この案内の手続きがそのまま当たらないことになります。

申請書は2枚、印紙は1,400円

「第三者への名義変更」のページは、申請書が2枚要る理由を、こう添えていました。

一枚は相続手続き、もう一枚は第三者への譲渡手続きに必要です。

手数料納付書に貼る印紙の額は、このページでは「自動車検査登録印紙1400円」と書かれていました。相続人の一人が引き継ぐだけの「単独相続」のページでは「自動車検査登録印紙700円」です。2つの手続きを一度に出すぶん、申請書も印紙も2つ分になるという並びです。

一方、北海道運輸局の「相続による移転登録」のページは、手数料納付書に貼る検査登録印紙を「500円」としていました。運輸局のページによって書かれている額が違うので、窓口に行く前に、管轄の運輸支局の最新の案内で額を確かめてください。

相続人が用意する書類は?

売る側の家族は、何をそろえればいいの?

車検証、戸籍謄本か法定相続情報証明書、遺産分割協議書などのいずれか、譲渡証明書、印鑑証明書が並んでいます。

死亡と相続人全員が確かめられる書類

「第三者への名義変更」のページは、戸籍謄本(戸籍の全部事項証明書)または法定相続情報証明書を挙げ、要る中身をこう書きます。

死亡の事実および相続人全員が確認できるもの。

同じ箇所には「法定相続情報証明書の場合は、上記戸籍謄本等は不要です。」ともあります。法定相続情報証明書を取ってあれば、戸籍の束を持っていく代わりにできる、という案内です。

誰が車を引き継ぐかを示す書類

次に、遺産分割協議書や遺言書など7つのうち、いずれかを出す形です。遺産分割協議書の条件は、次のとおりです。

相続人全員が実印を押印したものが必要です。

相続人の中に未成年者がいる場合は、代わって「特別代理人」の押印が要るとあります。遺言書は、公正証書による遺言以外は家庭裁判所の検認を済ませたものです。

買い手へ渡すための書類

相続人の側は、このほかに譲渡証明書と印鑑証明書を用意します。印鑑証明書は「発行後3ケ月以内のもの」とされています。相続人全員で共同して相続する場合は、全員の実印か記名と実印の押印、全員の印鑑証明書が必要だという注記付きです。

車の価格が100万円以下なら、手続きは軽くなるの?

古い車でも、相続人全員の実印をそろえないといけないの?

相続する車の価格が100万円以下と確かめられる資料を付ければ、「遺産分割協議成立申立書」を使えると案内されています。

関東運輸局のページは、遺産分割協議成立申立書を使える条件を、次の一文で区切っていました。

相続する自動車の価格が100万円以下であることを確認できる査定証又は査定価格を確認できる資料の写し等を添付した場合に限り使用可能です。

続く一文では、相続する人が相続人だと確かめられれば、ほかの相続人の確認は要らないとされていました。価格を示す資料が付けば、ほかの相続人の実印をそろえる代わりにできるという位置づけです。

国土交通省の様式の記入例には、この申立書について次の注記がありました。

「遺産分割協議成立申立書」は自動車の登録手続き特有のものです。

様式には、遺産分割協議が成立した日と、この申立書で申請することに相続人の同意を得た日を書く欄があります。どの資料が「価格を確認できる資料」に当たるかは、今回読んだページからは決められないので、この記事では判断していません。

買い手の側が用意するものは?

買ってくれる人にも、準備してもらうものがあるの?

新しい所有者の側には、印鑑証明書と実印(または委任状)、車庫証明書などが挙がっています。

「第三者への名義変更」のページは、新所有者(第三者)が用意するものとして、発行から3ヶ月以内の印鑑証明書と、実印または実印を押した委任状を挙げます。所有者と使用者が異なる場合は、使用者の住民票も必要です。

自動車保管場所証明書(車庫証明書)は、次の期限が付いています。

証明日より40日以内のもの

管轄が変わる場合は、車両そのものを持ち込む必要があるとされます。買い手の住所しだいで、車を運輸支局まで運ぶ手間が加わることになります。

車検が切れていたら、どうなるの?

しばらく乗っていなくて、車検の期限が過ぎていたら?

関東運輸局は、有効期間が過ぎたまま第三者に名義を変える場合、先に一時抹消登録をしてから所有者変更記録をする手順を示しています。

「自動車の相続による手続き」のページは、車検証の有効期間が過ぎている場合を3つに分けて説明します。第三者に渡す場合については、次の一文です。

有効期間が過ぎたまま第三者に所有者の名義を変更する場合は、ここに掲載している「一時抹消登録」の手続きをしてから、所有者変更記録の手続きをしてください。

「第三者への名義変更」のページでも、車検証は有効期間内のものとされ、期限が過ぎている場合は車検を受ける必要があると注記されていました。期限切れの車を売るときは、案内された順序がそのまま変わってきます。

この記事で確認したこと

亡くなった親の名義の車を手放すときの書類
・関東運輸局は、相続と第三者への名義変更を同時に手続きする方法を案内している
・その場合の申請書は2枚で、印紙は1,400円(単独相続のページは700円)
・北海道運輸局のページは、相続による移転登録の印紙を500円と書いている
・相続人は、戸籍謄本か法定相続情報証明書、遺産分割協議書などのいずれか、譲渡証明書、印鑑証明書を用意する
・車の価格が100万円以下と確かめられる資料があれば、遺産分割協議成立申立書を使える
・買い手は、印鑑証明書と車庫証明書(証明日より40日以内)などを用意する
・車検が切れているときは、先に一時抹消登録をしてから所有者変更記録をする

関東運輸局のページは「相続の手続きは非常に複雑」と書き、不明な場合は車検証を手元に用意して、管轄の運輸支局か自動車検査登録事務所へ事前に相談するよう案内しています。窓口に行く前に、一度電話で書類を確かめておくと、出直しを減らせます。

よくある質問

相続を放棄した家族がいる場合は、何が要りますか

関東運輸局の「自動車の相続による手続き」のページに、次の注記があります。

相続を放棄している人がいる場合は、家庭裁判所の「相続放棄申述受理証明書」の原本と写しが必要。

放棄した人の分は、家庭裁判所が出す証明書で確かめる、という扱いです。

軽自動車も同じ手続きですか

今回読んだ関東運輸局と北海道運輸局のページは、軽自動車の手続きには触れていませんでした。この記事の書類は、どれも運輸支局や自動車検査登録事務所での手続きとして案内されているものです。軽自動車の場合は、別の窓口の案内を確かめてください。

亡くなった人が外国籍だった場合は

同じページに「被相続人が外国籍である場合には、相続方法が被相続人の本国法に基づくため要注意。」とあります。どの書類になるかはこのページには書かれていないので、管轄の運輸支局に相談してください。

この整理が変わる条件


出典

車を手放す前に、書類と手数料の額を、管轄の運輸支局の最新の案内で確かめてください。

当方が上の出典を引いて確かめた日:

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